INTERVIEW

SPARTA LOCALS

2009年、SPARTA LOCALSは解散した。翌年、ボーカル&ギターの安部コウセイとギターの伊東真一はHINTOを結成。2013年には、SPARTA LOCALSのベースであったコウセイの弟である安部光広が新加入。ドラムの菱谷昌弘以外は全員SPARTA LOCALSである中、初代のドラマーである中山昭仁を加えたオリジナルメンバーで、2016年12月4日赤坂BLITZのイベント『DECEMBER’S CHILDREN』へ出演を果たした。そして、その場で本格的な再結成も発表して、7月15日には恵比寿ザ・ガーデンホールにてワンマンライブ『復活のファンファーレ』を控えている。

4人全員でのインタビューとなった今回、何故HINTOでSPARTA LOCALSの楽曲は歌われなかったのか?などを踏まえて、再結成に至るまでの話を洗いざらい聴いている。HINTOとSPARTA LOCALSの違い、それから今後どう両立させていくのか、聴きたい事は山ほどあった。資料映像でしかライブは観れていないが、観る限り、当時と何も変わらない血のたぎる興奮しきった4人を感じる事が出来る。そして、何よりもインタビューで中堅の年齢に達した4人が、まるで新人の様に希望に満ち溢れているのも嬉しかった。

個人的に大好きな曲「ロックとハニー」(2005年7月発表アルバム「DREAMER」収録)で『ハニー 永遠はロックンロールと君だけさ』歌っていてただけに、解散当時、やはり永遠なんて無いのだなと落ち込んだのを未だに覚えている。だが、HINTOとしてのロックンロールは続いていたわけだし、SPARTA LOCALSも完全復活した今、何も心配する事は無い。ふたつのバンドで永遠のロックンロールを味わえるなんて、何て幸せなんだろう。このインタビューを読んで、SPARTA LOCALSはもちろん、HINTOのライブにも是非とも足を運んでほしい。

HINTOもあって、堕落もあったから、スパルタを俯瞰で観れるようになった。
一時期はスパルタを嫌悪していたけど、その気持ちが初期化されていった(安部コウセイ)

SPARTA LOCALS

―まず、2009年に解散したSPARTA LOCALS(以下、スパルタ)を、いつ頃から再結成しようと考えていたか教えて下さい。

安部コウセイ(以下、コウセイ)「俺個人の中では、一昨年くらいですね。2015年の1月くらいかな。あっ、もうちょっと前くらいからあったかも。堕落モーションFOLK2(伊東真一とのふたり組ユニット)では、スパルタの曲をやっていて、『スパルタいいなぁ~。バンドでやってみたいなぁ~』と思ってたんですよ。俺と(安部)光広と真君(伊東)でHINTOを今はやっているのもあるし、HINTOの創立メンバーでもある真君に話を通さないといけないなと。そこから始まっていますね」

伊東真一(以下、伊東)「最初に聴いたのは、新代田FEVERで、その時は冗談っぽい感じで」

コウセイ「探りを入れたんだよ。リサーチね、リサーチ」

伊東「そうそう、なので『ないんじゃない』の一言で終わって。ただ、そういうタイミングが何度かあって、ちょっとずつトーンが変わってきたんですよ」

コウセイ「眼つきが変わってきた(笑)」

伊東「そんな時に前の事務所を離れる話があって、環境が変わるタイミングだったので何かをやる時期なのかなと。まぁ、中々、再結成となるとエネルギーを使うじゃないですか。だから、やるかをすぐには決められなかったですね」

コウセイ「びっくりするくらい頑固でしたよ。途中、何度か手が出かけました(笑)。でも、簡単に首を振ってもらってやるのは嫌だったし。だからこそ、俺自身も再結成については、ちゃんと何度も考えました」

―これは必ず聴かれる質問かもしれませんが、スパルタとHINTOはメンバー3人が同じですよね。ドラムだけが違います。それであればHINTOでスパルタの楽曲をやるという考えには至らなかったですか?

コウセイ「HINTOではやりたくなかったです。冗談めかして、周りにも言われてましたよ。でも、何かが違う気がして。生理的に潔癖かもしれないですけど、違うもんが混じっている気がしたんです。感覚的なものですけど」

―でも、堕落ではスパルタの楽曲をされていた訳ですよね。

コウセイ「堕落では違和感ないんですよ。堕落は、こだわりを排除した気楽さがあって、煮詰まらずに何でもやれる場所なんで」

伊東「そこはアレンジも違いますしね。HINTOにはドラムでビッツ(菱谷昌弘)もいるのに、スパルタをやるのはどうなのかなと思っていました。コピーでは出来ても、スパルタにはならないですから。やるなら、ドラムはアキちゃん(中山昭仁)じゃないとと思いました」

すぐに『やりたいな~』とパァ~っと思ったんです。楽しいかもなって。
1回で即答したんです。(中山昭仁)

中山昭仁

―大体の話の流れをコウセイさんと伊東さんからお伺いできましたが、光広さんはどのように想っておられましたか?

安部光広(以下、光広)「僕はですね、こう言っちゃ無責任ですが、楽しかったらやろうと。お祭りあるなら行こうかくらいの感じでしたね。僕はスパルタ解散して、HINTO入るまで4年ほど退役していたんですけど、HINTOを経てなかったら、再結成は尻込みしていたかも知れないですね」

コウセイ「俺も、そこは同じ。HINTOもあって、堕落もあったから、スパルタを俯瞰で観れるようになった。一時期はスパルタを嫌悪していたけど、その気持ちが初期化されていった」

―なるほど、よくわかりました。中山さん、お待たせしました(笑)。

中山昭仁(以下、中山)「(笑)。2013年の僕の結婚式の時にサプライズで演奏を3人に頼んで、2、3曲やってもらったんですね。久々で楽しくて。で、去年の夏くらいに話をもらったんですけど」

コウセイ「もうちょっと後じゃない?」

中山「そうだっけ(笑)。でも、すぐに『やりたいな~』とパァ~っと思ったんです。楽しいかもなって。1回で即答したんです。でも今から子供産まれるし、仕事もしているしとは思いましたが、やるなら燃え尽きるまで楽しくやろうと」

コウセイ「1回で即答するのがアキちゃんらしいよね。(笑)」

スイッチの入り方は違いますね。血液が沸騰する感じ。
HINTOは、もっと知性や理性があるんです。でも、スパルタは肉体的で原始的ですね。(安部光広)

安部光広

―一番ブランクがあった中山さんが良い意味でフラットに考えておられたのが良いですね! で、話が本格的に動き出したのは、いつでしょうか?

コウセイ「去年の秋に初めて音を合わせたんです。ただただ、照れましたよ。恥ずかしかった。ドラマーが変わるだけで、こんなに音が変わるのかと。楽器は、人間性が出るんだなと思いましたね。さっき話を聴いてもらってわかったと思うんですけど、(中山は)非常におとぼけの方なんで(笑)。そうなんで、バンドの雰囲気を良くするんですよ。気持ちのよりどころというか、なごみですよね。でも、演奏に関しては、昔の感覚を忘れていないなと」

―コウセイさん自身の感覚は、いかがでしたか?

コウセイ「昔の歌詞は恥ずかしかったですが、曲が乗ると大丈夫かなと思いましたね」

―伊東さんは、いかがでしたか?

伊東「音がHINTOよりデカかったですね。本当に『デカっ!』と思いましたよ。終わった後の耳鳴りも凄かったですから。当時の感覚には戻れましたけど、楽しいとは違う感覚でしたね。それにリハの方がおもしろかったです。本番は、余裕が無かったので。本番に向けて、いっぱいいっぱいだったので、皆リハの時から割と本気で本番のテンションに近かったですね。HINTOだと、そういう感じにはならなくて曲の細かい確認になるんです。でも、スパルタは本番のテンションと同じで反復練習をする感じですね」

コウセイ「千本ノック感あるよね」

光広「スイッチの入り方は違いますね。血液が沸騰する感じ。HINTOは、もっと知性や理性があるんです。でも、スパルタは肉体的で原始的ですね。若かりし頃からスパルタをやっているので、すぐに野生の感覚は戻りました。HINTOに入った時は緊張しかなかったですけど、スパルタを久々にやったのは楽しかったです。当時わからなかった事がわかったというか。本当にHINTOに入って良かったなと。大人になったなと。野生には戻っているんですが、どっかクールさはあるんですよ。だから、最強だなと思いましたね。クールなのに熱くなれる…、HINTOには良い財産をもらいましたね」

―コウセイさんから見て、弟の光広さんの感覚はわかられますか?

コウセイ「元々、彼が辞めると言ったから、スパルタを解散したんですよ。でも、誰が辞めると言っても、おかしくはない状況でしたけど。光広はスパルタの時は我が強くて、コントロールが出来なかった。でも、良いミュージシャンは、みんなそうなんですよ。その後、音楽を離れた経験もあったし、今はサポートをしてくれるようになった。昔は、ただただ怒っていただけだけど。俺をリーダーとして尊重してくれるようになりましたね」

―そんな安部兄弟を伊東さんは、どう見られてましたか?

伊東「自分が兄弟とは何もやらないので、特殊だなとは思いますね。スパルタ時代は兄弟のバチバチ感が出ていましたけど、今は融合している感じですね。それは音源にもライブにも出ているし、他のバンドにはない感じですね」

―またまた、中山さんお持たせいたしました(笑)。本格的な音合わせは、いかがでしたか?

中山「僕だけ、ずっとバンドをやっていなかったし、練習も出来ていなかったので、とにかく曲を聴きまくっていましたね。そのノリを大まかですが出せました。拙さはありましたが…」

コウセイ「それは俺も感じた! ブランクを感じた!!(笑)」

―(笑)。久々にバンドで演奏をする怖さみたいなものはありましたか?

中山「怖さより、どうせやるなら楽しんでやろうとだけ思っていましたね。全力でやろうとしたので、酸欠になりましたもん」

コウセイ「確かに彼の体力は落ちていたし、元々テクニックが上手い人でもないし。でも、あんまし、そこは重要視していなかった。スパルタ独特の音が出ればいいし、上手くやろうとしなくていい。ちゃんと血がたぎる感じに一瞬でなったしね」

―その時は、今後もやっていけると思っていたんですか?

コウセイ「今後やるかは決まっていなくて、単純に12月のイベントに向けてやっていましたね。一夜限りの再結成くらいの感じでしたよ。でも、ライブの時にアンコールの合間で『やろうよ!』ってなって、そのままアンコールで発表しようと。興奮していましたね」

―ライブ映像を見せてもらったんですけど、アンコールで出てこられて、「来年からもスパルタやります! 今、裏で決めたんで!」ってさらっと言ってましたけど、本当にそうだったんですね。伊東さんは、いかがでしか?

伊東「手応えも余裕も無かったですね(笑)。元々、再結成が嫌だったのは、かっこいいと思った試しが無かったんですよ、再結成したバンドに対して。『おっさんになったなぁ~』くらいしか思えなくて。だから、自分たちも、そうなるのが嫌だったので。そう思わせないようにライブをやるには、楽しむ余裕がなくて。本当に疲れたという感じでしたね」

コウセイ「確かに、あれは疲れる。真君、異常な動きをしていたし(笑)」

伊東「興ざめだけさせたくなかったから。熱量だけでも当時と変わらないようにしようと」

―光広さんは、ライブ本番いかがでしたか?

光広「チャラけてるわけじゃないんですけど、やっぱり最強だなと思いましたね。僕ら、かっこいいなと思いましたよ。当時から思ってましたけどね。当時より、かっこよかったですね」

コウセイ「やめろ! 恥ずかしいわ!!(笑)」

光広「(笑)。まぁ、でも、ひたすら気持ち良かったですよ。なぁ?!(と中山に問いかける)」

中山「イエス」

コウセイ伊東光広「(爆笑)」

光広「まぁ、でも大人になるっていいなと思いましたね。昔のアップアップ感が無いし、自由なのに興奮できていましたから」

―改めて、中山さんは、いかがでしたか?

中山「人が大勢すぎましたね。でも嬉しかったのは、職場の人が見に来てくれたり、僕がメンバーと知らなくて、知り合いの人が見に来てくれたりしていて。久々だから絶対間違えるだろうと思っていたので、それよりたぎるものを出そうと思っていましたね。そして、楽しもうと」

コウセイ「当日、アキちゃん緊張していたんですよ。だから、『家庭も持っているし、仕事も出来ているんだよ。そっちの方が凄いんだよ』と言ったんです」

中山「そうっすね。あまりにもバンドと離れていたので、そんな事は考えもしなかったのですが、家庭や仕事は当たり前じゃないんだなって」

コウセイ「そういういいエピソードを、何で本人から言わないんだよ(笑)!!」

光広「俺も良い事を言ったよ。『ひとりでステージに立つんじゃなくて、4人で立つんだぞ!』って!」

―中山さん、覚えておられますか?!

中山「言われた記憶ありますね」

―むちゃくちゃ良い事をふたりから言われてるのに、さらっとしているんですね(笑)。伊東さんは、中山さんに何かアドバイスはありましたか?

伊東「俺、あんまり興味ないんで(笑)。いやいや、でもリハの時から曲の速さや細かい事をとか気にしないで、全部を出したらいいとは言っていましたね」

中山「リハから緊張していましたからね。『気にするな』とは言ってくれていましたね」

光広「ライブでは、頭真っ白になった?」

中山「意外と覚えちょう」

コウセイ「良かったよ。でも、『ピース』(全9曲演奏で7曲目)でバテていたよね?!」

中山「うん…(笑)」

光広「(笑)。あの日は、お客さんのパワーも尋常じゃなかった。こんなに好いてくれているのかと思った」

―コウセイさんも、そのお客さんの想いは感じられましたか?

コウセイ「凄く嬉しかったですよ。でも、冷静にならないとと思っていました。お客さんがワーッとなっているから、やりたいではなく、自分がスパルタに対してドキドキで痺れていないと駄目だなって。お客さんの気迫にのまれないように、と思ってました」

伊東「確かに、お客さんの気迫は凄いなと思いました。オリジナルメンバーで10年ぶりのライブだと、あのお客さんのリアクションは予想できましたけど、それに引っ張られないようにと思ってました。でも、(登場)SEが鳴った時の沸く感じには、『おっ!』となりました」

コウセイ「何故か『UFOバンザイ』(3曲目)で泣きそうになったんですよね。その結果、歌詞を間違えましたけど(笑)」

―ライブをやり終えた事で、大きく感じた事って何でしょうか?

コウセイ「スパルタのライブをやった事で、HINTOと別もんである事が改めてわかったんです。スパルタの個性を感じた事で、HINTOの個性も感じれたんです」

―気が早い話かもしれませんが、スパルタの新曲は期待しても良いでしょうか?

コウセイ「スパルタの新曲を作っていくのは、今年は無いかな。新曲は、来年ですね」

―スパルタとHINTOを両立していく事には、どう思われていますか?

コウセイ「両立には努力をしないといけないですから。時間、労力、全て倍かかるので。何か、スパルタ再結成ライブ後のHINTOのライブは気合入りましたよ。中途半端な事は出来ないですから。責任が増しましたね」

ふたつのバンドをやること自体がおもしろいと思う。そんなバンド、他にいない。(伊東真一)

伊東真一

―光広さん、スパルタとHINTOの両立については、どう思われますか?

光広「兄貴と僕ら3人が違うのは、曲を作るか作らないかという事で。後、最初は分けて考えていたけど、ベースはベースだなと。自然にやればいいやと。今はプレイヤーとして成長が出来るワクワクがありますね。ただ、何を持ってスパルタの曲、HINTOの曲とするかですよね。采配をどうするかという…」

コウセイ「それは俺、ライブを演って明確になったと思う。」

光広「あ~、どう考えているかを聴けて良かったですよ」

伊東「ふたつのバンドをやること自体がおもしろいと思うしね。そんなバンド、他にいないから。いないのは、大変な事だからだろうし。共倒れだけにはなりたくないですね。なぁなぁの関係になっても良くないし、単純に頑張らないといけない。一度終わったものをやるのはしんどいと思っていたし、『HINTOで良くない?』と最初は思っていました。でも、それが少しずつ変わってきて、スパルタをやるからにはHINTOも良くなったと言われないといけないですから。この4人で集まればスパルタになるし、HINTOで集まればHINTOという風になっていくのかなと」

―中山さんはスパルタの再結成、どう思われていますか?

中山「見ての通り、僕は器用じゃないので」

コウセイ「そうだな(笑)」

中山「家庭と仕事、スパルタ、どっちかに熱を入れると、どっちかがおろそかになるなと」

光広「はっきり言うなぁ~(笑)」

伊東「(笑)。現実問題、アキちゃんの仕事があるのでHINTOがメインになるとは、最初に話はしていて」

コウセイ「でも、期待しているよ。7月のワンマンに向けて、作り上げていくんでしょ?!」

中山「そうそう」

光広「エアドラム練習したんだろ?! 絶対、意味ないけん!(笑)」

中山「子供がいるから、ドラムパッドでも音が出るので、用をたしながらエアドラムを…って…記事大丈夫ですか?」

光広「お前が気にするな!(笑)」

中山「いや、その(笑)。でも、ドラムは感触よりも体がノレるかなんで、エアドラムを重要視したんです」

コウセイ「でも、トイレでですよ!!」

―(笑)。去年12月のライブは全9曲でしたが、7月のワンマン踏まえ、今後やっていきたい楽曲がありましたら教えて下さい。

コウセイ「今後は上がるとこ、たぎるとこに、スパルタのメロウな曲を塩胡椒的にブレンドしてやっていきたい。やりたいやりたくない曲や好き嫌いな曲は無いですよ。そういう感覚は無い。こないだやった時に『UFOバンザイ』は今鳴らしても古臭くないと思ったし、とってもスパルタっぽい。上がる、たぎる、という感覚はスパルタのアイデンティティかなと思いますね」

伊東「あの時、印象的だったのは『POGO』(5曲目)。今やっても、変な曲だなって。スタジオでやった時に曲を忘れていたし、一番変な曲だなって思いますね。でも、曲はどれでも良くて、どれでもやりたいですね。全部、久しぶりですから」

光広「僕も『POGO』ですかね。こんな曲は無いですよね。新しい古いのカテゴリーの捉われない曲ですしね。これはクレイジーだなと思いましたね。あんなクレイジーなイントロ無いし、世界にも無いですよ。『ピース』も良いですね。ベースラインは、生涯の中で自信作です。後、『スパルタのシングルのカップリング曲は良いよ説』があって、どっかで触りたいですね」

中山「正直、どの曲もやりたいですね。12月のライブで言うと、本編じゃなくてアンコールでやった『GRUNGY SISTER』(9曲目)が好きでしたね。福岡で内内にこもってやっていた曲なんで。前へ放出するようなパワーが出ているなと、やっていて思いましたね。1曲だけスローで、何かフワッとなったんです。こみあげてきたものがありました…」

光広「淡々とし過ぎている。パイオニア過ぎたというか…」

中山「7分を越えているし」

光広「今、無いですよね。7分越えを感じさせないのが凄い」

コウセイ「その自己評価の高さよ、ずっと(笑)」

音楽を辞めようと思った事は無いです。バンドを辞めようと思った事はありますけど(安部コウセイ)

安部コウセイ

―(笑)。ちょっと話は変わりますが、今年4月にスパルタとHINTOと堕落の3組で自主レーベル『cat fish label』を設立されましたよね。このタイミングでの独立についても、お伺いしたいです。

コウセイ「前にいた事務所と契約満了になりまして、違う事務所も考えたんです。でも、せっかくなら自分たちでやろうかなと。で、一緒にやっていたマネージャーも連れて行きたかったんですよ。例えばラジオを凄く聴いているとか、自分と近い感性があるし、彼が一緒にやってくれるなら自主レーベルもアリかなと。ただ、彼は、この世界を辞めるつもりだったので、『考えてくんない?』と言いました。それで一緒にやってくれる事になったので、事務所とレーベルを作りました」

―ちょうどスパルタと同世代くらいの四十路手前くらいの世代が、とても、しぶとくてタフで、僕は好きなんですよ。中堅の凄みある意地というか。そんな中で、実際どうサバイブしていくかみたいな事はリアルに考えられますか?

コウセイ「その場を必死でしのぎ続けてるだけですね(笑)。ただね、音楽を辞めようと思った事は無いです。バンドを辞めようと思った事はありますけど、音楽を辞めるのは怖いので…。なので、音楽は凄く大事にしています」

―伊東さんは、レーベルや事務所を自分たちで立ち上げた事に関して、どう思われていますか?

伊東「この時代、ちょっと遅すぎたのかなと。色々と近くのバンドがやり始めて、単純にかっこいいと思っていましたし。でも、自分たちには向いてないと思っていたので、無いかなと思っていました」

コウセイ「まぁ、向いてないよね」

伊東「ただ、このタイミングでやらないとヤバいとも思ってましたね」

コウセイ「正直、(バンド界隈で)独立ブームみたいなもんはあったと思うんです。ただ、自分たちは向いていないのに、『俺たちも! 俺たちも!』と何も考えずに乗ったらマズイなと。スタッフひとりは、確実に必要でしたし。自分たちで決めないといけない事が増えて大変ですけど、その大変さは大丈夫です。充実感があるので、ワクワクしていますよ」

光広「独立に関して言うと、一緒に来てくれたマネージャーには『ありがとう』の一言ですね。『僕は里に帰ります。お達者で!』という事も選択が出来たわけですから、その男気に応えて…、みんな良いプレイをしよう!」

中山「そうですね」

コウセイ伊東光広「(爆笑)」

―最高です(笑)。

光広「あの、でも、さっき言ってくれましたけど“中堅”って僕、大好きなんですよ。あの世代の感じが大好きなんです。ベテランでも若手でも無いんですけど、胸板が厚い感じするでしょ?!」

―まさしく、そうですね! スパルタの、もちろんHINTOに堕落の中堅ぶりを、これから、とても楽しみにしています。今日は、長い時間ありがとうございました!

インタビュー・テキスト:鈴木淳史
2017-06-09 UP

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